ポエム
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痛いうた
君が僕を好きという告白に
最大級の嬉しさを
感じられたときの
寂しさは、予知夢のようなもの?

その寂しさは
正しい顔をして
とても朗らかに笑っているから
なんだか見間違えてしまう
寂しさ

僕は馬鹿みたいに舌を出して
より特別な幸せにしてくれるのなら
オールオッケーだよ、って。


そしてそのあと起こった
どんな悲劇も喜劇も
あまり喋りたくないのは
君も、だろ?

あの夜聴いた魂の叫びのような
鉄を裂く血刀のような
哀歌が忘れられない


捕まったのは、
僕ひとりだったのか。
逃げ出したいのは、
僕ひとりだけだったのか。

抱きしめたくなる方言を聴くと
その美しい駅の柱に
体を寄せて立ち止まってしまう

だけど駅に吹く騒がしめの風が
楽かった彼女との生活を
なぜだか想い出させる

ひとりで、生きられるくせに、
だれかが恋しい
ひとりで、生きられるくせに、
だれかと生きたいと
夢の中でならいいかと祈ってしまったとき

ほんとうの寂しさを知る

だれかお願いです、
私を幸せにしてください、なんて、
そんな
安っぽい痛みがザクッと
僕の胸に深めの穴をあける。





23/10/29 15:20更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
むろん、虚構の夢物語です。だから、痛くはないのです。
誤解されるとまずいと想って。
ちなみに最後の連の私と僕が混ざってるのは、ワザとです。あまりお気になさらずに。

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