ポエム
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夢の砂



十月ももう半ば
会社へ向かうあの
マンション植え込みに咲く
金木犀が香る朝

私の家の庭の
金木犀は切っている
あまりに大きくなりすぎて
ほんとは毎年
とても良い香りを届けてくれる
たいせつな友人なんだけど

あまりに大きくなりすぎて
隣の庭にまで枝を伸ばしてしまうから
去年の冬
伸びすぎた枝を
切ってしまった

とても痛くって
それからいつだって
それより痛い痛みを
感じたことがないくらいかな

くらい
云ってもいいかな


なんだか
雨が降ると
なんだか
ホッとするって

悲しみって
なんだろねって
なんなんだろうねって

とてもとてもリアルが忙しくて
寂しくて
イヤデ
たくさんの
悲しみが
悲しみとして
胸を刺すというのなら


ねぇ
金木犀

私のしたことは
あきらかな罪として謝るとしても

その悲しみの命に指を触れた
私の心が
馬鹿なんでしょうねぇ

夜は静かに眠れますように
どうか無事に眠れますように


祈る希いは
真実をすこしだけ変えたい
大馬鹿野郎のみる
王子様を嘲笑った
砂漠でダミ声で歌う
狐のみる夢なんでしょうかねぇ

ホントは
王子様が大好きだった
大馬鹿野郎の
女狐の

夢の砂ひとにぎり
だけがたいせつだなんて
だけがそんなにたいせつだなんて
とても痛くって
希望が昨日に転がって
痛すぎて
時代を置き去りにした
ひとにぎりの
砂の声にだけ
耳を傾ける






23/10/14 18:41更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
蛇足ですが、星の王子さまの狐が女狐ってことはないので(挿絵があるので)、女狐って、私の心なのかもね。
ちなみに、書き始めに最後を考えずに書くので、こんなていたらくですみません。
とりあえず、おあやまり。

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