歌のはなし
真珠が転がって
いる
美しく輝きながら
青い空には雪が舞い
でも空中で消えているみたいに
アスファルトには積もらない
わかってもらうことから
背を向けたその白昼
言葉のとおり
文字どおり
その昼は
白かった
真珠が転がって
いる
まるで小石みたいに
なにひとつ大切なことなどない
どこにも大切な宝石などない
ゆらゆらと蜃気楼のよう
想い出だけが
ゆらゆらゆらと
あの街へ私をいざななう
ギラギラに輝き生きるためにだけ
生きていた
あの頃のあの街へ
あの夜
狂った月は三日月で
カミソリみたいな私と
仲良く肩を組んで
歌を歌ったものだった
そして
なにかがあったらいいなと
ふたりして
想っていたというはなし