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さらしもの




みんなあたしのこと
フラレたてのやつだって
わかってんだろうか?

みんなみんな
妙に優しくて
駅で人とぶつかっても
「ごめんなさいねー?」
とか
優しくニッコリと謝ってくれる

顔が
フラレたての顔してるのだろうか?

いや、
そんなことじゃなくて
もしほんとにそうなら
あたし
さらし首晒してフラフラ歩いてる
落ち武者のユーレイみたいじゃないか?

いや、
例えが下手過ぎ。

もしそうならあたし
みんなの好奇な目にジロジロみられる
さらしものみたいなもんじゃないか?

顔に
「あたし、フラレたて、でーす」
とかいう紙を貼り付けた
さらしものみたいなもんじゃないか?

ち、ちょっとは
自尊心とかも
たとえばそれが
ミジンコの心くらいでも残っているので
あたしを
そんな優しい目でみないで

なにもかも棄てたわけではないのです
なにも考えずに悲しんでいるわけでも

ちゃんと、
新生しますから。

あたしを優しすぎる目で
みないでください

とか考えてると
電車の上りと下りを間違えて乗って

おもわず泣きそうになった
上り方面には
キラキラの過去の幸せが
ひらひらと舞っていて

なんとか涙はこらえたけどね

それでもまわりのみんなは
優しい目で
みても
みないふりをしてくれていた








23/07/16 08:38更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
過去の実体験です、嘘です。なりきり詩です。清々しい朝の光を浴びて、逆にマイナスの詩を書いてみよう、とかいう感じです。な、なぜに?

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