『愛と希望と勇気の日』、その南極ブリザードの如き
1
今日は、
愛と希望と勇気の日、
らしい。
羽川 愛さんと
月島 希望さんと
堀 勇気さんの
あの3人が初めて南極大陸で
出会った日
だったから
らしいよ、
ウソです。
いや、ウソなのは、
羽川さんと月島さんと堀さんのことで、
愛と希望と勇気の日というのは
ほんとうらしいですよ。
ほんとうは
1年前に置き去りにした
もう、死んだだろうと思っていた
あの、南極犬(って言葉ないよね?)の
タロ、ジロに
再会できた日。
それは、
身勝手だが人間から犬たちへの
愛が通じた日、だから。
それは、
なんとか生きていてくれるだろうという
希望が叶った日だから。
それは、
置き去りにされた犬たちの
勇気が確認できた日だから。
そんな奇跡のような
事象が起こった日のことを
僕たち日本人は、
けっして忘れないために
愛と希望と勇気の日
として人々の胸に刻み込んだ
いや、
刻み込もうとした。
あまり成功していないようで
僕は、
今年初めてその日を知ったほど。
でもでも。
それは確かにほんとうの出来事で、
その感動を
ありがとう
の気持ち
を、
僕たちへ伝えるための
映画なんかも
作られたりした。
それがあの
ラスト高倉さんと犬との再会シーン、
涙なしには見れない名作
『南極物語』。
いや、
どんなに名作だろうが、
その映画を勧めるために
この文章を書いているんじゃなくて、
もう、なにもかもが終わったあとでも
愛と希望と勇気は
不滅だなぁ、と。
愛と希望と勇気の日には、
愛をだれに、
希望をなにに、
勇気をどこへ、
向けてそそげばいいのだろうか、
と。
皆さまに、
それを問いたいので
あります。
今日は、
愛と希望と勇気の《こころ》の
その存在を
再確認する日なのだから。
(という《日》で、いいんでしょ?)
2
その授業は目覚めて聴く価値があった
食欲不振の冬
わたしは夢遊病気で
痩せ衰えていた
渡り廊下を通った白ねずみが
へたくそなスリーディのように立ち止まり
わたしを齧ろうと歯を剥くのだ
罪人に吹きつけ心に刺さる
木枯らしの色は赤く
だが、それは暖かい血の色ではなかった
それを確認したのだから
そっと、しずかにねむらせてくれる?
もっと、しずかにねむらせてくれる?
でも、授業で繰り広げられているのは
タロとジロの南極の物語
たとえば
南極ブリザードは
生きねばならない自己保身を
刺殺しようとして、希望を追い詰める
そんなときも
古くからある紅白な国では
透きとおったみやこの冬野の花だけ
鉛色の千年王国復古のみことのりを掲げ
その煌びやかにすぎる誠実な正義を
隊列乱さず世界の平和な国々へ届けようと
してくれるのだが
ところで、
世界的自由の意味って、知ってる?
じゃあさ、
今日が『愛と希望と勇気の日』だって
知ってる?
理由は、タロとジロにでも、
聴いておくれ
天国にいる、きっと天使犬になっている
痩せっぽっちの「愛と希望と勇気の」犬に。