自制克己、ってタイトルにしようとしたけど、たぶん間違ってる、そんな詩ではない
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僕の理解力では花澤さんの言わんとする ことの半分も理解できていない感じなの ですが、なんだか妙に考えさせられる詩 でした。 マヌケヅラと語り手は自嘲していますが 、むしろそういうことに想いを馳せるこ となく、条件反射のような喜怒哀楽や盲 目的な選択を繰り返しているうちにいつ しか老いている―そんな生の持つ哀しみ とでもいうべきものが、逆に胸に迫って くるようです。 キーツ(僕は彼の詩は難しくて分かりま せんでしたが)の唱えたとされる「ネガ ティブ・ケイパビリティ」を思い出しまし た。全ての物事が解決できるわけではな いことを理解し、曖昧さに耐えることの できる、そんな心の在り方のことです。 語り手は、ほかでもなくそれを体現して いる、悲しみという、もっとも切実な感 情の1つをこの世界に位置づけられない という、いわば根源的ともいえるだろう 虚しさを抱きながら、それでも自分をし かと持とうとしている。 似たような心理的状況を生きている僕と しては、ラストの「そんな克己かな」と いう、自分の"それでも(僕は)!"的悲 壮感に酔うのでもない、自己を軽やかに 突き放しつつ歩み始めるかのような、そ んなクールネスに、励まされました。虚 無にあっても澄んだ境地でいることので きる、淡々と自分を尊ぶことのできる、 そんな己を信じたいと、そう思えました。 雪月統 22/10/05 06:28 評価:とても良かった!
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