ポエム
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言語なれば
──果たして、それは如何なるものなのか。
    それは、如何なるものになるのか。──

「生み出せ」
「想像しろ」
無数の声が感覚を遮り聞こえてくる。
「造れ」
「形へと」
無数の感情が欲を揺さぶる。

それが果たして如何なるものなのか
それが果たして如何なるものへ
それが果たして如何なるものを
それが果たして如何なるものに

どう影響を及ぼすというのだ?

手が伸びる。
一つの手が闇へ誘おうとする
手が伸びる。
多くの手が行動を妨害するだろう。
手が伸びる。
無数の手が今や敵となるのだ。
手が伸びる。
たった一つの手が私を非道徳的な楽園へと連れていくことだろう。

私は天使ですと舞い降りたそれは、
どうも神のようにも感じた、悪魔。

この視界が崩れれば、私の世界は崩れるだろう。
そう、今のように。
そう、いつかの様に。
そう、明日のように。
そう、過去のように。
……そう、私のように。

優しく撫でるだろう。
優しく微笑むだろう。
優しく励ますだろう。
優しく愛するだろう。
それは全て素振りだけだろう。

言葉が肌を撫でた。
まるで否定したかったことを消し去るように。
言葉が肌を撫でた。
まるで肯定したかったことを強調するかの如く。
言葉が肌を撫でた。
まるで全てを与えてもらったかのように感じた。
言葉が肌を撫でた。
まるで全てが無かったかのように。
消し去るように。
それが私にとって最高の言い訳になることだろう。
それが私にとって最高に都合いいことなのだろう。

私の全てを蹂躙し尽くす様はまるで、天使の如く。
私に型に嵌った愛ならぬ永遠を授ける様はまるで、神。
私をただひたすらに甘やかすのは、悪魔であった。

 目に見えないものを掴むより、感じて。
 目に見えないものを見るなら、話そう。
 みえないなら、わからせよう。

形になればなるほど敏感にそれを感じることが出来た。
私はそれが嬉しかった。
ただ、それだけだったのだ。

それは如何なる時も……
 ねぇ、だいすき。
愛を誓いますか。
 誓ってよ。

けれど私はそれが恐ろしいものに感じるのだ。
その楽園が、都合がいいことが、良くないものにも感じてしまうのだ。

だが、どうにもそれを愛してしまうのだ
そう、どうにもそれに騙されてしまったようだ。
19/07/23 00:12更新 / 充電式沈没船



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