迷霧の連弾 96
ある生徒が得意そうに
ビートルズと
大きな声で叫んだ
田宮先生はさも嬉しそうに
そのとおりだと
叫び返したら
間髪入れずに
ビートルズの魅力を
つらつらと語り出した
名前は知っている
歌も少しは知っている
でも自分から聞くというより
ラジオで流れているのを
聞いていただけだった
それなのに
とても印象に残るのは
人々のこころの底に
抱えている感情を
そのまま歌にしたから
そんな風にボクは考えていたら
同じことを田宮先生は言った
田宮先生とボクは
年齢がかなり離れているのに
完全に同じ感想を持つ
決して田宮先生が
若々しいのではない
だけど同じ感想を抱くのは
この歌がどの時代にも通じる
人間の尊厳を
鷲づかみにしているからだろう
25/12/22 00:16更新 / 秋時雨