迷霧の連弾 64
先生といえども
異性なので
じっと見つめられると
どこか照れくさい
だからこそ尚更
黙々とテントを
組み立てていた
でも時折理恵が
先生と楽しそうに
話している声が
聞こえてくるので
どうしても理恵の方に
視線が向いてしまう
その様子を
保健の先生が
めざとく見つけて
ボクに小声で
理恵のことが気になるの
そんなことを
問いかけてきた
何の前触れもなかったので
ボクは肩を
大きく弾ませて
保健の先生を
何も言わず見つめた
やっぱり気になるんだね
保健の先生は
楽しそうに言った
ボクは少し顔を染めて
俯き加減に作業を続けた
保健の先生は
理恵の方を眺めながら
気にかけてくれる人がいて
良かったね
しみじみと呟いていた
25/12/06 00:40更新 / 秋時雨