迷霧の連弾 51
教室は独特の喧騒だった
明日から夏休み
それが理由に違いはない
それほどまでに
夏休みの存在は
偉大だということだ
部活動の最後の大会が
間近に控えていても
重量級の宿題を
抱えさせられても
高校受験に向けた
様々な業が待ち受けても
夏休みという空気が
苦しみを紛らわせてくれる
理恵を見つけて
席に向かった
理恵は特に何も
想いはなさそうに
いつものように
静かに席に鎮座していた
ボクはおはようと挨拶して
理恵にキャンプの
参加申込書を
提出したか尋ねた
理恵は視線だけを
ボクに向けて
軽く首をたてに振った
素っ気なくても
何か言葉を返されると
期待していただけに
少し残念だったけど
理恵とキャンプに行ける
そのことが確認出来て
嬉しさが満ちてきた
25/11/30 02:41更新 / 秋時雨