迷霧の連弾 48
教室に戻った理恵は
さっさと席につき
プリントを愛しげに
眺めていた
まるでキャンプそのものに
興味はあるけど
誰と一緒に過ごすか
そんなことは
どうでも良い
そんな風に考えている
そう思われても
不思議ではない態度
ボクはとても淋しかった
理恵とは友だちでもない
だから気にすることはない
中学三年生のボクには
もっと大事な未来がある
一時の理恵との
こころ通う会話など
叶うことがなくても
人生において
何も失うものはない
大人はきっとそう言う
同級生の中にも
そう考える生徒もいるだろう
25/11/28 01:50更新 / 秋時雨