迷霧の連弾 43
1学期最後の科学の授業
梅雨は明けて
本格的な夏の日差しは
墨で塗りつけたような
影法師を作りだす
空を覆う濃灰色の雲は
払拭されて
遠くでそびえ立つ
真綿色の積雲に変わる
オニヤンマが
わが物顔で空を徘徊し
セミが盛夏を謳歌する
汗だくになって
野草の観察をする
草の葉は熱を帯び
日光に抗うように
背丈を伸ばしている
今日の授業は
いつもより早く終わる
あまりにも暑いから
早めに切り上げたのか
そう思っていた時
先生は鞄から
プリントを取りだし
みんなに配った
その内容は
科学を選択した
生徒を対象に
夏休みにキャンプを
開くとの案内だった
25/11/26 00:47更新 / 秋時雨