迷霧の連弾 36
雨はいつの間にか
やんでいた
なんだかまだ
ここにいたい気分だったけど
また雨が降り出す前に
帰った方が良い
そう考えて
後ろ髪をひかれる思いで
教室を後にした
昇降口で上履きから
雨が染み込み
泥がこびり付いた
重い靴に履きかえて
校舎を出ると
しっとりとした
涼気を含んだ空気に
包み込まれた
学校の裏山から
流れてくる風が
草木の息吹を含んでいて
気持ちを落ち着かせてくれる
それでもやはり
理恵のことが気になり
どうにもできない気持ちが
分厚い雨雲のように
うねり返っていた
25/11/22 03:45更新 / 秋時雨