迷霧の連弾 35
教室からは
部活動に行く生徒
塾へ行く生徒
帰宅する生徒
行方は違うけど
ひとりまたひとりと
教室から去って行く
そして誰一人
いなくなった教室を
ボクは名残り惜しそうに
眺めていた
ボクもさっさと
家路につけば良いのに
なぜか教室から出ることが
淋しく感じて
席に座ったまま
教室の隅々を眺めていた
右隅に明日の日付と
日直の名前が書かれた黒板
整然と並べられた同じ机
同じような毎日でも
違うことを示している時間割表
いつも傍にあるものなのに
当たり前すぎて
その存在を
気にしていないことに
今さらのように気づいた
25/11/22 03:28更新 / 秋時雨