ポエム
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迷霧の連弾 31

田宮先生はその他にも

食用や薬用になる野草を

摘んでは説明した

雨の中合羽を着て

授業を受けているので

生徒たちはウンザリしていた

でも理恵だけは

目をキラキラと輝かせて

説明を聞いている

ボクは時折理恵の横顔を

覗きこんで考える

こんなキミで

いつも過ごしていた方が

絶対に楽しい学校生活が

送れることに

疑う余地などないはずだ

なのにどうして

キミはこころを閉ざすのか

キミの秘密を知りたい

そう思う自分を自覚する

でも秘密を知って

どうするのだろう

ただ興味本位で

人の秘密に触れることは

無責任なことではないか

秘密を教えてもらったなら

共感しないといけない

悩みや困り事が

その背景にあったなら

一緒に立ち向かわないといけない

その覚悟がボクにあるのか

上向きに雨粒を顔に受けて

考えていたら

田宮先生はボクの鼻先に

ドクダミを突きつけて

話はしっかりと聞きなさい

たしなめるように言った

ボクは鼻を押さえた

理恵はクスクスと

笑っていた
25/11/20 01:38更新 / 秋時雨

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