迷霧の連弾 30
梅雨の時期こそ
ドクダミの持つ魅力が
存分に伝わる
そう思っていたからこそ
田宮先生は合羽を着てまで
野外授業をしたかったんだね
理恵は優しい口調で
ボクにそう言った
その時ようやく
ボクは気がついた
理恵と普通に
話していることに
教室の中では
話しかけても
最低限の反応しかない
ある時は全く相手にしない
もはやそれが理恵の普通
誰もがそう思っている
でも今の理恵は
ボクに話しかけてくれる
ボクからの問いかけにも
楽しそうに応答してくれる
あまりの様変わりに
ただ戸惑うことしかできない
理恵のそんな態度に
ボクの興味は深まっていた
25/11/19 01:30更新 / 秋時雨