迷霧の連弾 27
ドクダミの匂いは
独特だから
いきなり鼻先に
突きつけられたら
たまらないよね
理恵は楽しそうに言った
あれだけボクに
話かけられることを
拒絶していた理恵が
自分から好意的に
話かけてきたものだから
ボクは豆鉄砲をくらった
ハトのような表情で
理恵の顔を眺めていた
田宮先生は面白がって
他の生徒たちにも
同じことをして
匂いを嫌がる姿を見て
喜んでいた
そして理恵の鼻先にも
ドクダミの茎を
突きつけた
理恵はイヤがりながらも
楽しそうに笑っていた
その姿をボクはただ
不思議に眺めながら
今理恵に話かけたら
素直な返事がきけるかと
少し期待を抱きつつ
それをできないでいた
25/11/18 00:25更新 / 秋時雨