迷霧の連弾 208
いつの間に教室に
戻っていたのだろう
それどころか
ステージから退場した感覚
観客席に戻って
安堵の息をついた感覚
優勝と発表された感覚
ほんの数時間前のこと
何も覚えていない
まだ自由曲が
頭の中で繰り返し
駆け巡っている
ホームルームの
先生の話は
聞こえてこない
みんなの笑顔も
うれし涙を流す表情も
ボクの感情の琴線には
触れることはなかった
今のボクは
暮れゆく秋の太陽が創る
哀愁を帯びた秋空を
何を想うことなく
ただぼんやりと
ひとり眺めていたかった
26/02/22 13:01更新 / 秋時雨