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迷霧の連弾 20

理恵が教室に入ってきた

席についたのを

確認してから

理恵の席へと向かった

ほんの数メートルが

長く感じられ

早くたどり着きたい思いが

足をもつれさせた

そしてやっと

理恵の席に着いた

理恵は鞄から

一時間目に使う

教科書を開いて

前回習ったページを

読み返しているようだ

邪魔したら悪いとも

思ったけれど

やっぱり昨日のお礼を

言っておきたくて

まずはおはようと

挨拶をした

理恵はボクに目を遣り

おはようと返事をして

すぐに教科書に目を向けた

続けてボクは

昨日のお礼を言った

理恵は教科書を見たまま

軽く頷いて

それ以上は何事も

なかったかのように

教科書だけを見つめていた
25/11/14 01:33更新 / 秋時雨

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