迷霧の連弾 17
担任の話は
全く耳に響いてはいない
窓側のボクの席から
反対の廊下側の理恵の席に
ボクの視線は
羽交い締めにされたように
動かすことができなかった
4月からそこに座っていた
選択授業も一緒だった
なのに理恵の存在に
気づかなかったのは
どうしてだろう
そんなことだけを
ボンヤリと考えていた
やがてホームルームが終わる
早く終わって欲しい時は
なぜか長引くのは
世の常なのか
理恵の席へ行こうと
立ちあがったら
理恵は足早に
教室から出て行った
お礼を兼ねて
理恵のことを
いろいろと聞きたかった
でも今日は叶わない
明日へと持ち越しになった
残念だけど
明日が楽しみだ
そう思うことにして
ボクも教室を後にして
家路へとついた
25/11/13 03:53更新 / 秋時雨