迷霧の連弾 148
田宮先生はいつもの調子ではなく
ゆっくりとしんみりと
話し続けた
そのひと言ずつが
まだ志望校を決めていない
ボクには重くのしかかる
今まで何をしていたのか
自分の過去を責める
これからどうするつもりか
今の自分を戒める
半年後はどうしているのか
未来の自分を
悲観的に想像する
みんなはきっと
将来の自分に向けて
しっかり歩を進めているので
何の慚愧もなく
当然のことのように
耳を傾けているかと
そう思って周りを見ると
みんな真剣に
田宮先生の話を聞いている
今まで科学の授業で
こんなにみんなが
真剣に田宮先生の話を
聞いていたことが
あっただろうか
でもそれは
田宮先生の話に
感動したのではなく
中学校生活が
あと半年という現実を
真っ正面から
受け止めているからだった
そして理恵もまた
その中の一人だった
26/01/18 02:33更新 / 秋時雨