迷霧の連弾 146
今日の科学の授業は
理科室で開かれた
雨の中を合羽を着てまで
野外活動を大切にしていた
あの田宮先生がなぜ最後に
座学を選択したのか
事情は分からない
そして誰もがそのことに
特別な感情は抱いてはいない
ただ理恵だけは
座学であることを
残念に思っていたのか
机に両手を組んで
感情のない瞳で
コブシを眺めていた
やがて田宮先生が扉を開け
理科室に入る
いつもの意気揚々とした
歩き方ではなかった
少し俯きがちに
自分の感情を
必死で抑えつけている
そんな風に見てとれた
田宮先生が教卓の前に立ち
号令とともに授業が始まる
田宮先生は教卓の両端を手で掴み
前傾姿勢で話しだした
26/01/17 03:02更新 / 秋時雨