迷霧の連弾 144
いつものようにボクは
理恵から一歩後ろを歩く
見えるのは理恵の背中
いつの間にか短くなった日が
その背中を眩しく照らす
理恵のサラサラの髪が
歩くたびに揺れ
秋の傾いた日射しを
キラキラと弾いて
ボクの目を目映くさせる
でも一見穏やかで美しい
理恵の後ろ姿は
何人も寄せつけない
緊張感を漂わせている
ボクはさっきの授業の
お礼を伝えたかった
でもそんな普通の会話さえ
理恵は受け付けようとしない
もうそんなことは
分かりきっている
なのにどうしても
分からないのは
その理由だった
理恵が一年生の初めに
何か故障を抱えていた
その事実を知る
保健の先生も
理由は知らない
理恵の抱える問題なので
ボクには関係ないはずなのに
放っておけなかった
26/01/15 05:08更新 / 秋時雨