ポエム
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迷霧の連弾 10

先生は二つの花を手に

見比べていた

二つとも同じ花でないことを

確認するために

この待ち時間が

なんとも言えない

緊張感をもたらす

それも仕方がない

確信を持って

提出していないから

でもそれを

顔に出してはならない

出したら適当に選んだと

バレてしまい

放課後に職員室で

小言を聞かなくては

ならないのだ

どうか別々の種類で

あって欲しい

そんなことを願いながら

でも態度では自信満々で

先生の答えを待っていた

時折吹く5月の風が

時が進んでいることを

覚えさせてくれる

そしてようやく

この二つは違う花だ

田宮先生は言い放った
25/11/09 00:55更新 / 秋時雨

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