さくら
ひとりで見る花
ふたりで見る花
みんなで見る花
香りがちがう
色見がちがう
景色がちがう
毎年同じ場所に咲いている
誰に気付かれずとも咲いている
人の側だけ勝手に想いを描く
自分の気持ち次第で眺める
立ち止まって 触れて 匂いを嗅いで
一瞥だけで 素通りし 行き過ぎて
存在さえも忘れて 無視して
人は都合良く花を愛でるけど
花は人の為に咲いてはいない
誰に忘れられてもそこに咲く
凛としてそこに咲く
その逞しさが 強さが 可憐さが
私には気高く 何より美しい 命に見える
今年も 同じように 咲くんだね