ポエム
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貴方に
過ぎ去った日々に 思いを馳せるのは
ただそれだけで 大人になったような気がして
本当の苦しみも分からぬまま
親にも、学校にも、社会にも守られた
この安全を無自覚に享受していた

誰にでも 生きていたら悩むことがあるだなんて
そんなことも知らずに
自らが不幸の代名詞であるかのような
尊大な自意識で
ちっぽけな殻を大事に守ることだけに
ムキになって周囲を拒んだ

無知で傲慢な視点で
捉えた物事は 全て退屈へと化し
そこに隠された、生きようと泥にまみれている姿の美しさを
鼻で笑うことだけが 誇りであるかのように思っていた

大した傷つき方も知らないくせに
傷を負ったふりだけは丁寧にこなし
不幸を自分だけの物差しで測るのは
お手の物だった


彼女のもつ世界のフィルターを通過したものは
何処までも美しく澄んでいて
その美しさに心打たれると同時に
どうしようもなく悲しくもなった
本当に、それはただただ美しくて
嫉妬とか、憎しみとか、そんな暗い私の感情でさえも
彼女の世界を通せば いくらかの美しさを、帯びることができるのかと
渇望にも似た憧憬を抱いた

私は彼女のように
パステルの色彩で彩られた
幸福で満たされた世界なんて 持ち合わせていないけど
それでも、彼女のために私にできることがあるのなら
それを探して手渡してあげることだけに
一生を捧げてもいいと 迷いなくおもえる

私が苦しむ分だけ 彼女が幸せに包まれるなら
彼女の底抜けに明るい笑顔が見れるなら
私は本当に なんだってするから
だから、少しでもいいから 私の方を向いて
その眩しい笑顔で、笑い声で
私の固まった 傷だらけの
心に触れて
癒して
包んで
お願いだから
私にも
貴方の美しい世界を
夢みさせて
お願い
好きだよ
死ぬほど
19/10/10 23:23更新 / La France



談話室



■作者メッセージ
彼女は眩しすぎるんです

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