明けない夜がないのは
地上にいるからだ

太陽の光は案外頼りない
実は光の届かない場所が大半で
何も見えないことが日常で
それでもわずかな光を見つけては一喜一憂する

夜に沈み込んだことはあるかい？
そこは真っ暗闇
怖くて息苦しくて寂しくて悔しくて
初めはひたすらに光を求めるだろう

そしたら月に出会うだろう
かなり遠くだけど星も見える

苦しいけど寂しいけどずっとここにいようかな
光の昇る場所に戻ったところで
また誰かに蹴落とされてここに沈むんだろうな

月は話さないし
星まで声は届かない
いつまで経っても夜は明けない

光の届かない場所であたしたちは生きられない
そのことを忘れてはいけないよ
夜の深淵から抜け出せず（たいていの人は抜け出さなくなる）
どんどん息ができなくなって
力尽きた人も少なくない


つい最近、あたしは久しぶりに光を見た
太陽の光だった
マーブル模様の感情は涙になって空に溶けていった

暗闇にいたことなんてすぐに忘れてしまいそうだ


2021/11/13　22:05
地上はまだ怖くて
ずっと浅瀬にいる

今でも夜の波にさらわれて沈むことはある
けど、なんとか戻ってきたりしている

今日も、ぬるい夜