ポエム
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激しすぎる感情の代わりに
激しすぎる感情に任せて書いたあの詩を
誰にも見せる気にはなれなかった
あなたのことを誰かに語る気にはなれなかった
それがどうしてかあたしにはわからない

晴れた夏の日に思い出す
激しすぎる感情の代わりに

あたしね、時々、あなたの声が聞こえる
あたしね、実はちょっとだけあなたが苦手だった

あなたがどれだけ素敵な女性であるのか
みんなに伝えることは出来ないけれど

激しすぎる感情の代わりに

あなたを独り占めできたあの日のことを思い出す
どうしてあなたはあたしを特別と呼んだのか
優秀な弟ではなく、人気者の妹ではなく、どうしてあたしなのか
家族に忘れられ、笑顔とわざとらしい優しさで取り繕われたあたしをどうして特別と呼んだのか
あたしにはやっぱりわからない

あの時、あろうことかあたしはあなたに小遣いを要求した
あたしは照れ隠しのつもりだったのかもしれない
ポケットから100円玉を取り出すあなたは、どんな気持ちだったのだろうか

あたしはあなたにとってそれでも特別だろうか
あたしはそんな人間じゃないと言えばよかっただろうか
20/07/18 15:05更新 / ともろう



談話室



■作者メッセージ
伝えたいのに誰にも知られたくない、そんな作品ができてしまいました。
不思議な感情です。

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