人間というものは全くもって矛盾している


科学とやらを極めてなお、
神頼みをする人間はなくならぬし

学問をいくら極めた者でも、
感情とやらを持ち理屈でなく動く時がある

己が心より愛する者ほど、
誰より深く傷つけることなど多々あるし

己は死にたいのだと信じる者も、
目の前に車が突っ込んでくれば避けるだろう


理屈を大切にする者は本能を持ち

理想を見る者の視界には現実がある



上げてもきりのない矛盾の数々に
人の不完全さを感じて安心する私もまた


完全を嫌うわけでもない、
矛盾する人間の一人である

■作者メッセージ
「その矛でその盾をついたらどうなるのですか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　（『韓非子』より）