『沼池にも蓮の花』

『泥中の蓮』

初めて君を見た時
そんな言葉が頭に浮かんだ

どろりと渦巻く泥の中で美しく咲く蓮の花

醜いものをいくつも知っている僕の目にさえ美しく写る君はまさに気高い蓮だった


やがて僕は彼女と友達になった
彼女『清らかな心』を知って
僕はやはり彼女は蓮のようだと思った

友達になってみると
彼女はとても話上手だった
その『雄弁』さにまた、
蓮のような人だと思った

そして僕は彼女の恋人になった
僕にとって彼女は
何より『神聖』なものになった
やっぱり彼女は僕にとっての蓮だった

やがて僕は彼女と別れた
最後まで美しかった蓮を思って僕は泣いた
涙も枯れ果てた頃、
蓮に『離れゆく愛』という
花言葉もあったことを思い出した








願わくば美しい君が
美しい水の上で咲き誇っていますように

■作者メッセージ
『沼池にも蓮の花』…沼池にも美しい蓮の花が咲く、たとえ環境が悪くても立派な人間は育つ。
『泥中の蓮』…汚れた環境の中にいても、それに染まらず清く正しく生きるさまのたとえ。